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ブログAlways blue skies behind the clouds

<< 震災特例法延長問題、法テラス出張所存続問題 | main | 3月4日の読売新聞(夕刊、首都圏版)に掲載されました >>

災害復興と被災者の暮らしについて

弁護士の在間です。

 

今日3月5日、日弁連の災害復興支援委員会の全国協議会の視察で、10年前(2007年3月25日)に起きた能登半島地震の被災地、輪島市を視察し、輪島市長からお話を伺いました。

 

 

様々なことを感じましたが、特に考えさせられたのは、災害復興と被災者の暮らしについてです。

 

輪島市では、能登半島地震で自宅を損壊し、住宅再建を断念した被災者に対して、戸建て型の災害公営住宅を提供しました。

特に、興味深かったのは、輪島型災害公営住宅という手法です。

これは、自宅を被災し、様々な事情(主に経済的な事情)で再建を断念した世帯に対し、希望に応じて、被災した土地を市に無償譲渡させたうえで、市がその土地に戸建ての災害公営住宅を建設し、被災者に入居してもらうという手法です。10年後には、希望に応じて、土地建物を被災者に譲渡できる内容になっているとのことです。

このような手法を取り入れたのは、できるだけ震災前の地域から離れたくないという被災者の心情に可能な限り寄り添い、その地域で生活再建を果たしてもらうことが目的だったとのことです。

 

 

東日本大震災では、多くの被災自治体で、災害公営住宅は集合住宅(マンション)タイプの建物が建築されました。

しかし、東北沿岸部の地域では、一戸建てでの生活が主流であり、特に高齢者からすると、マンションタイプの住宅での生活は馴染みの薄いものでした。

自宅を失った被災者にとって、住宅再建の資金がない場合に、最終的な生活再建の手段は、災害公営住宅への入居となります。

つまり、災害公営住宅は、被災者の生活再建の最後の砦(セーフティーネット)にあたります。

しかし、東日本大震災の多くの被災地では、この最後の砦が、震災前の生活形態である戸建てでの生活形態とは大きく異なる集合住宅型の災害公営住宅しか選択肢がありません。

このことは、被災者にとって、生活形態が震災前から大きく変化してしまうということに留まらず、従前の地域コミュニティとは全く異なる新しいコミュニティに放り込まれることも意味します。

このように、震災前の生活形態、地域コミュニティからかけ離れてしまうことを恐れ、仮設住宅から災害公営住宅に移ることを躊躇する被災者が少なからずいらっしゃいます。

 

私は、災害復興とは、災害の直前の生活を被災者に取り戻してもらうことに他ならないと考えます。

災害前の生活とかけ離れた生活しか準備されないのであれば、被災者、とくに被災弱者と呼ばれる人々は、その新しい生活に戸惑い、もしくは、順応できず、その地での生活を長く続けることはできません。

被災者にとって住みよい生活がなければ、被災地の復興はありません。

 

今回の視察で、輪島市の取り組みを知り、復興とは何か、被災自治体が地域を復興させるために最優先にすべきは何なのか、改めて考えさせられました。

東日本大震災は、まもなく発災後6年を迎えます。

未だに、多くの被災者が震災前の暮らしを取り戻せずにいます。

まだまだ復興の過程にある東北の被災地で、一人でも多くの被災者の方々が、震災の直前の生活を取り戻せるよう、私たちは知恵を絞らなければなりません。

 

(弁護士 在間文康)