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ブログAlways blue skies behind the clouds

146回目のフライト(2016年の出張納め)

 奄美の鈴木です。

 

 大晦日,皆様いかがお過ごしでしょうか。私は不惑の四十を迎えようとしています。まさか自分がそんな齢になるとは,少し感慨深いものがあります。

 さて,年末にはそれぞれの節目があるかと思います。仕事納め,走り納め,釣り納め,潜り納め,大掃除など。

 私は,先日12月29日,今年の出張納めとなる徳之島に行ってきました。移動手段は飛行機(JAC),フェリーとあるのですが,私は専ら飛行機移動です。そうした出張納めの結果,今年の飛行機搭乗回数が146回となり,昨年の144回を更新してしまいました(子供の頃から数を重ねることが苦手だった私にとっては唯一の自慢ともいえます)。

 

 なぜそんなにも飛行機に搭乗するのか? 

 

 それは奄美事務所が本土(内地)から約370キロ離れた奄美大島にあるからです。

 さらに,奄美事務所は全長約200キロの奄美群島(鹿児島地裁名瀬支部管轄)をホームグランドにしている事務所です。したがって,その行動範囲は事務所のある奄美大島に留まらず,喜界島,加計呂麻島,徳之島,沖永良部島(おきえらぶ),与論島(ヨロン)といった離島の中の離島も対象になります。

 一見平和そうに見える南の島といえども,人の営みあるところに困り事や悩み事があるのも現実です。宮澤賢治の「雨ニモマケズ」ではないですが,東へ西へ南へ北へといったところです。また,インターネット等の普及により人と人との交流も随分と便利にはなっているかと思いますが,直接に人の声や営みに触れなければ,本質的な解決や良質なサポートが出来ないと私は思っています。

 

 ですから,新年も,私の体力の続く限り,自然が許す限り,出張に出ることを怠らないようにしたいと思う今日この頃です。

 

(弁護士 鈴木穂人)

 

 

遺産分割と預貯金(平成28年12月19日最高裁大法廷決定)

弁護士の在間です。

一昨日、最高裁が、亡くなった人の預貯金を相続人でどう分け合って相続するかについて、「預貯金は遺産分割の対象となる」との初判断を示しました。

亡くなった家族の遺した遺産を相続人で分ける作業が「遺産分割」です。誰もが生涯で1度は出くわす問題かもしれません。

遺産をどのようにわけるかについては、相続人全員で話し合い(「協議」)をして、皆が納得するようであれば、その結論が優先されます。
話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所で話し合いを行うことができます。これが「調停」です。
調停はあくまでも話し合いですので、やはり相続人全員が納得しなければまとまりません。
調停ではまとまらなかった場合には、「審判」で裁判所に分け方を決めてもらうことになります。

 

さて、亡くなられた方が預貯金をお持ちだった場合、預貯金も、他の遺産(土地や建物など)と同じように、相続人で話し合って分け方を決めるものだと考えるのが一般的な感覚だと思います。

しかし、これまでは、「預貯金は遺産分割の対象外」、つまり、預貯金は、本来的には、亡くなった瞬間に相続人それぞれに法定相続分に応じて分割されるもので、土地や建物のように相続人が分け方を決めるものではない、とされていました。

もっとも、相続人全員で、「預貯金も他の遺産と同じように、話し合って(もしくは、審判で)分け方を決める対象に含めましょう」という合意が出来ている場合には、預貯金も遺産分割の対象に含めることができました。

この合意は、少しややこしいですが、「具体的な分け方についてはこれから話し合う(もしくは、審判で決めてもらう)としても、とりあえず、分け方を決める話し合い(審判)のテーブルに預貯金も乗せましょう」ということを相続人間で決めるということです。

 

協議や調停の段階では、分け方について相続人全員が納得しなければ何も決まりませんので、預貯金だけが別扱いになる(「土地建物の分け方だけは話し合いで決めて、預貯金のことは話し合いでは決めない」)ケースはあまりないのですが、問題になってくるのは審判の段階です。

審判は、裁判所が分け方を決める手続きです。この手続きの中で、「預貯金も審判で決めてもらう対象に含めましょう」という合意が相続人全員でできている場合には、預貯金も審判で裁判所に分け方を決めてもらうことになります。

しかし、そのような合意が相続人全員でできない場合には、裁判所としては、「預貯金については審判では判断できません。土地や建物は審判で分け方を決めますが、預貯金については別にやってください」という対応をすることになります。

つまり、「裁判所が決めるとなったら俺に不利になるはずだから、俺は預貯金を審判のテーブルに乗せるのは嫌だ」という相続人が一人でもいる場合には、遺産分割の手続きでは預貯金の分け方は決まらないことになります。

反面、理屈上は、相続人各自は、金融機関に対して、自分の法定相続分に応じた金額を払戻すよう請求をすることができるということになります(あくまでも理屈上で、多くの金融機関の運用としては、簡単には払戻しに応じてくれません)。

 

今回の最高裁の決定は、「預貯金は遺産分割の対象となる」と判断して、相続人全員の合意がなくても、審判で預貯金の分け方を決めることができるとしたものです。

相続人の一人が「預貯金を審判のテーブルに乗せるのは嫌だ」と言っても、遺産分割の手続きで預貯金の分け方を決めることができることになります。

これは、実務上は劇的と言っていいほど、大きな変更となります。

 

この変更で、相続人間で話し合いが進まない場合に、預貯金だけを先に法定相続分に応じて払い戻しをするということは、(理屈上も)できなくなると思われます。

そうすると、相続税の申告・納税期限(亡くなったことを知ったときから10か月)までに、遺産の預貯金を現金化できないというケースが増えることが予想されます。

被相続人の立場からすると、将来、自分の子どもたちの争いを避け、負担を軽減するために、生前に遺言書を準備していくという必要性が、これまで以上に高まるのかもしれません(遺言書を準備しておけば、基本的にはその内容とおりに預貯金の払い戻しが可能になります)。

 

ところで、今回の変更で、遺産分割の手続きの中で一気に預貯金の分け方まで解決できるようになるわけですが、陸前高田のようないわゆる司法過疎地においては、手続きの進め方にも大きな影響が出てきます。

陸前高田市の裁判所の管轄は、家事事件(調停、審判)については盛岡家庭裁判所大船渡出張所で、民事事件(訴訟)については盛岡地方裁判所一関支部になります。

陸前高田から大船渡は約20キロで30分ほどで移動できますが、一関までは約60キロで1時間半の移動時間がかかります。また、冬場は凍結した峠をいくつか越えるので命がけです。

これまでの運用だと、当事者間の合意がなければ預貯金は審判の対象にはなりませんでしたので、調停が成立しなかった場合には、預貯金についてのみ民事訴訟で争わなければならないということもありました。

これは、当事者(や代理人)からすると、結構な負担で、その負担を避けるために、ある程度妥協して調停を成立させるというケースもありました。

今回の変更で、別途預貯金についての民事訴訟をやらなくてはならないということはなくなりますので、当事者(や代理人)にとっては、負担が減ることになります。

一方で、家庭裁判所の負担はこれまで以上に増すことになりますね。

 

(弁護士 在間文康)

菅野浩平弁護士が入所しました。

平成28年12月19日より、菅野浩平弁護士が新たに入所しました。

 

菅野弁護士は、陸前高田事務所の隣町である岩手県気仙郡住田町の出身です。

東北大学の法科大学院を卒業し、司法試験の合格・司法研修所の終了を経て、我々のメンバーとなりました。

 

きまじめで人当たりのよい菅野弁護士は、依頼者に全力で寄り添って仕事をします。

 

従来のメンバーとともに、ご指導ご鞭撻のほどお願いします。

 

弁護士 新谷泰真

今年最後の仮設巡回活動を行いました

昨日夕方、小雪の降るなか、今年最後の仮設巡回を行いました。
この仮設団地でも、住民の半分くらいは既に退去されていまして、残り6世帯ほどになっていました。それでも参集していただいた方がおられました。有り難いです。

 

今年当職が陸前高田に来まして、在間弁護士の活動を引き継いで仮設巡回をしてきたのですが、仮設住民の中に、ひどく住宅再建の遅れている方がおられるなと感じました。原因は、移転先の宅地がまだ造成できていないとか、大規模な土地区画整理事業をやったために仮換地までに時間がかかった等です。昨日ご参集いただいた住民の方も、移転先の宅地造成ができるのは平成30年になりそうとのことでした。震災から実に7年ということです。
今後も、息の長い仮設住民の方の支援が必要と感じました。

 

ともあれ、来年も仮設巡回活動は続きます。災害公営住宅巡回の方も行わなければなりません。
ひとまず小休止といったところです。
(陸前高田 弁護士 瀧上明)

 

 

2016/12/2 陸前高田市コミュニティホールでの「地元弁護士の話を聞く会」の講師を務めました

弁護士の在間です。

 

先週金曜日に、瀧上弁護士とともに陸前高田市コミュニティホールで開催された「地元弁護士の話を聞く会」の講師を務めました。


 

 

いわて男女共同参画サポーターの会と高田地区公民館、高田町女性会の皆様にお招きいただいた企画で、講演の模様は地元紙・東海新報で報じていただきました。


 

 

自分の抱えている悩みが法律問題なのかどうかがわからずに、「こんなこと聞いたら笑われるんじゃないかな?」と、弁護士への相談をためらわれる方も多くいらっしゃいます。

弁護士にはどんなことでも相談して大丈夫。病気と同じく、日常生活の悩みも、早期発見と早期治療が大切です。私たちを「最も身近な相談相手」として、お気軽にどんな悩みでも相談してください。

そんな内容のお話をさせていただきました。


 

 

来年には震災から6回目の3月11日を迎えます。被災地域の皆さんのお悩み事は複雑化、個別化し、胸の内に抱え込まざるを得ない方もたくさんいらっしゃいます。

地域の皆さんから、ちょっと相談に行ってみようかな、と感じていただくきっかけになればと思います。


(弁護士 在間文康)